2012年12月2日日曜日

不可思議/wonderboy/ラブリー・ラビリンス



1.もしもこの世に言葉がなければ
 アルバム内で一番哲学的なものを感じる曲。曲自体もシンプルで嫌いじゃない。

2.未知との遭遇
 なんかふわっとしたSFっぽいトラックが印象的な一曲。当時好きだった人に捧げたラブソングらしく、ちょっと臭い歌詞がたまらない。特に最後の「ハッピーエンドではなくハッピーエンドレスな日々へ」という部分が凄く好き。

3.銀河鉄道の夜
 銀河鉄道のレールを作る男とその帰還を待つ恋人の遠距離恋愛を歌っており、前半では男性主観、後半は女性主観の歌詞になっている。最後に再び男視点へと戻るところがニクい。

4.迷宮Ⅰ
 雨音みたいなトラックに、女性の可愛らしい声を乗せたポエトリーディング。

5.タマトギ
 これまでとはちょっと雰囲気が変わり、和風テイスト。何気に良曲。

6.君(能動的3年間)
 ワンダーボーイ本人によるポエトリーディング。アルバムの中では結構重要な位置にある曲なんだろうけど、正直あまり好きじゃない。

7.風よ吹け
 トラック3、9と並んでこのアルバムで最も出来のいい曲の一つ。でもインパクトとしては9の方が強いかな。でもいい曲。

8.偽物の街
 最初はあまり好きではなかったのだけど、何度か聞くにつれて好きになっていった。たぶん僕だけだけど、なんとなく歌詞に懐疑主義っぽさを感じた。
 
9.Pellicule
 哀愁漂うトラックに乗った、やるせなさと未来への希望を同時に感じさせるリリックが素晴らしい。もの凄く臭いんだけど、なんでこんなに響くんだろう。ポップさでは随一なので、興味がある人はまずこの曲を視聴してみることをおすすめする。

10.迷宮Ⅱ
 トラック4と同じ構成。長い曲ではないけれど、次のラストトラックへのつなぎとしてはかなり重要な位置にあると思う。

11.いつか来るその日のために
 あんまり印象には残らない曲だけれど、今回改めて聞いてみて「自分の居場所を誰かに聞くことはできない」という歌詞にはっとさせられた。なぜか少しもの悲しさを感じてしまう曲。

総評.あまりラップは聴かないのだけど、このアルバムは小林大吾の「詩人の刻印」以来のヒットだった。ストレートなリリックと勢いで畳みかける感じが非常にカッコいいし、ポップでわかりやすいので、こういう人が売れ線になれば良かったのにと思う。きちんとした形で次回作が聴けないということが本当に残念でならない。
 あとタイトルがややこしいけど、 不可思議/wonderboyの「ラブリー・ラビリンス」というアルバムです。

2012年8月6日月曜日

eufonius/メトロクローム



1.flare
 造語のケルト風ポップ。エンヤとかに近い感じ。

2.Indelible name
 前曲の流れを汲んだ美メロポップ。ボーカル以上に目立つコーラスが素晴らしい。

3.ラクガキ~10 billion mix~
 北欧な雰囲気から一転、チップチューンっぽく始まるへんてこポップス。非常に中毒性がある。

4.letter
 ゆったりとした静かな曲。ただ途中で電子音が入ってきて、どこか一筋縄ではいかない感じ。

5.メトロクローム
 eufoniusお得意のメルヘンっぽい曲。
 ギターソロの後に一気に曲調が変化し、そのまま終わってしまう。

6.plage
 ゴスペル風のコーラスだけの曲。長さは三十秒程度しかないが、非常に綺麗で印象に残る。

7.夕空ワルツ
 ケルトな美メロ再び。どうにもriyaは管弦楽器との愛称がいいみたい。

8.シラタマ
 ここで流れを一気にぶった切って、猫の生活を描いたポップスへ。
 散漫にならない程度に色んな電子音が鳴っていて面白い。、

9.sign
 静かなピアノから始まる、音数を絞ったシリアスな曲。凍てつくような張り詰めた空気が痛々しい。

10.白い箱庭
 凍った空気はここですぐに溶かされる。
 前半は優しくもゆったりとした曲だが、後半から一気に加速し、アッパーチューンっぽくなる。
 
11.ちいさなうた~album mix~
 ピアノとボーカルのみの優しいポップス。
 過去の曲の再録らしいが、アルバムの雰囲気には合っている。

総評.
 4年ほど前の作品だが、今年前半で一番衝撃的だった作品。
 なぜこのクオリティでインディーズレーベルから出しているのかはわからない。とにかく一曲一曲のレベルが非常に高い。
 ただ、ファンタジーかつ浮世離れした歌詞の曲が多く、あまりノリノリで聴くようなタイプのアーティストではないため、一般受けするにはちと厳しいか。
 とにかく普通のポップスに飽きた人は、アニソン・ゲーソンの人だとかそんな偏見を捨てて、一度聴いてみればいいと思う。

超飛行少年/スーパーフライングボウイ





1.間接照明
出だしのギターの音量的にちょっとびびる。インディーズシングル曲。シンプルなポップロック。

2.アイエヌジー
歯切れの良いギターが気持ち良い。ラノベアニメの主題歌だったらしい。

3.日曜快晴日
ポップロック。アルバムの中では一番印象が薄い。

4.ずるい人間
ミドルテンポから段々と盛り上がっていき、サビはギターがアコギっぽくなる。

5.ゼブラの途中
ゼブラと言うのは横断歩道のこと。 何気に嫌いじゃない。

6.タテガミオーケストラ
個人的ベストトラック。ただどっかで聞いたことがある気がして、内心未だにパクリなんじゃないかと疑い続けている。

総評.
個人的に絶対売れるだろうと踏んでいたのに、見事発表したアルバム(ミニアルバム含)は三枚とも爆死。そのままメジャーレーベルとの契約を解消し、一年の活動休止を経て解散という黄金パターンになってしまった超飛行少年(スーパーフライングボウイ)の最初で最後のミニアルバム。むしろ、解散ライブが音源化されただけでも一ファンだった身としては喜ぶべきなのか。

とにかく変な捻りのないストレートなギターロック風ポップなので、万人受けはするはず。ただそれが購買欲につながるかと言うと、ファンの自分でも疑問。何がよかったのかと聞かれると、「声、ポップさ」くらいしか言えないが、少なくともギター初心者の自分がスコアを買ってコピーしたくらいの不思議でささやかな魅力はあった。というか、今もある。たぶん、これが俗に言う「信者」というやつの戯言なのであまり気にしないで欲しい。

ちなみにフロントマンは「SAY MY NAME.」というバンドを結成し、今も精力的に活動している模様。現行でCDを買ったりはしていないけど、どんな形であれ、活動を続けてくれるのは純粋に嬉しい。


いとうかなこ/Chaos Attractor




1.追想のディスペア
なんか民族音楽っぽい。コーラスが焦燥感を煽る。

2.キミと夜空と坂道と
出だしのボーカルラインがおもしろい。正当派ポップスソングといった感じ。ちょっと捻ったいきものがかかりと言ったら雰囲気が伝わるだろうか。

3.fake me
カッコいいエレクトロニカポップ。特にボーカルの後ろがカッコいい。

4.Find the blue
今度はバンド音楽。最後らへんのベースソロがあるところに目新しさを感じる。

5.escape
ちょっと苦手。あんまり好きじゃないかな。

6.A will
一瞬、ピアノバラード?と思ったら違った。途中からミドルテンポになって良い感じ。

7.friend
民族音楽っぽいパーカッションから始まる曲。今度はバラード。普通に良曲。ただいとうかなこがこの曲を歌うことになんか違和感が。

8.ivy
普通のポップス。良くも悪くもポップス。

9.F.D.D.
やっぱいとうかなこってこういうロックな曲が一番あってるんじゃないかと思う。もしくは音数の少ないバラード。

10.クライ
バラード。正直なんか面白味がないって言うか。盛り上がりに欠ける。

11.Desire Blue sky
またバラードかなと思ったら違った。サビに入るまでが非常に秀逸。

12.スカクラッドの観測者
初っぱなからキーボードの音が入っていて、「電子音楽ですよ」と主張しまくっているエレポップ。サビのボーカルラインとか非常に好み。だけど、飽きやすい。

13.Another Heaven
ゲーム本編で聞いたときも思ったんだけど、一部サビに無理矢理歌詞を入れているところがあってもの凄い違和感を感じる。普通のバラード曲。

14.突風
シークレットトラックその1。あんまり好きじゃないっす。

15.Fly to the sky
シークレットトラックその2で、最後の曲。シングルのカップリングらしいけど、普通にタイトル曲でもいいんじゃないかと思うぐらい良い曲。

総評.
これまでの5pb.のゲームの曲を詰め込んだベスト版。後に発売されることになった「“Thank You!” ITO KANAKO the BEST -Nitroplus songs collection-」とは収録曲が一切被ってないため(まあコンセプト的に当然だが)、この二枚をそろえるとゲーソン歌手としてのいとうかなこは、だいたいコンプリートできる。
いとうかなこはハスキーなカッコいい声をしているが、あまりに特徴的であるため、曲によっては雰囲気にあってないような曲が数曲あったのが残念。別の人に歌わせてもいいんじゃないかみたいな。
まあそれほどアニソンっぽくないし、カッコいい曲ばかりなのでおすすめ。ただガラスの靴みたいなのを期待できないけど。
ちなみにアマゾンで未だに売っている初回特別版は、よくあるプロモとかが入ったDVDクリップなので、マニアでもない限りはわざわざ買う必要はないと思う。

岸田教団&THE明星ロケッツ/LITERAL WORLD

1.コノハ
前作はパワーコード連発だったけど、今回はちょっと色々カオス感が出てる。ちなみに今回はアジカンっぽくはない。

2.girl of nothing
歌詞の元ネタはゼロの使い魔らしい。ルイズルイズうわああのコピペしか知らないんだけど。
やっぱり若干カオス。


3.literal world
表題曲にして、このアルバム1のキラーチューン。出だしのギターリフがカッコいい。ただハイハット多用しすぎな気が……。

4.夏空
ようやくミドルテンポへ。前作の秋空とは関係がないらしい。

5.hollow word
歌詞が世界系っぽい。1と2に似てる。


6.最後の夜空
ロックバラード。あまり好きじゃないっす。

7.暁を映して
サビのドラムの為にあるような曲で、9mmのDiscommunicationを彷彿とさせるような激しさ。もの凄くインパクトがあって面白いんだけど、いかんせんギターソロが適当すぎる。


総評.
前作「星空ロジック」より激しくなって曲のクオリティも全体的に良くなったんだけど、ぶっちゃけ自分としては前作の方がよかったかなぁ。捻りすぎてそれが消化不良な点がちょっと……。
方向性としては、星空ロジック系のパワーポップもよかったけど、こういうハードな演奏でも十分良い。ので、もうちょっと多様性というか、曲のバラエティが欲しいかな。

amazarashi/0.6




1.光、再考
「amazarashiって何?」って人はとりあえずこの曲を聴けば分かる。この曲に共感に近いものを覚えればamazarashiの大抵のアルバムは名盤になりうるだろうし、反対に中二病の戯言と見なせば、すべてが糞盤に感じる。
ひたすら人生は暗いけど、希望を捨てないで。そんな感じの曲。

2.つじつま合わせに生まれた僕等
このアルバムの仲で一番好きな曲。人間の醜さと悲壮感を歌っているような、そんな歌詞。

3.ムカデ
前二曲とはうって変わってハードな演奏。可もなく不可もなくといった感じ。

4.よだかの星
1分52秒。短い曲。綺麗なインスト+ポエトリーディング。

5.少年少女
最初はポエトリーディングから始まる。無限の可能性が広がっている少年少女だったあの頃を回想している曲。

6.初雪
離ればなれになった男女のことを歌った曲。悪くないけどamazarashiにしてはキレイ過ぎるというか、普通。
7.光、再考(DJ KRUSH remix)
あまりクラブミュージックには明るくない自分でも知っているDJだが、これは完全な蛇足。必要性が感じられない。


総評.
最近割と注目されている青森県出身の二人組バンドamazarashiの1st。
楽器の構成自体はギターベースドラム+キーボードと非常にシンプル。

音楽性自体はポエトリ的というか、フォークのような歌い方以外は特出した点はなく、演奏よりもむしろ歌詞ありき。そのせいか、一曲一曲の歌詞の量が半端でなく、普通のバンドの三倍ぐらいあるのが特徴。その上CDにも歌詞カードとは別に詩集がついている。なんかちょっと得した気分になれるけど、どれだけ表現したいんだこれ。

その反面、あまりに世界観が完成されすぎていて、窮屈すぎるというか、解釈の自由が感じられないのが欠点か。


正直なところ、非常に灰汁の強いバンドであるため、手放しで褒めにくい。

とはいっても、ファーストアルバムとしては十分過ぎる構成で、彼らの魅力が十二分に詰まっているいいアルバムだとは思う。個人的にはこういった音楽は大好物なので非常に楽しめた。

ただ、いくらこのバンドが好きだからといって、間違っても知り合いにCDを貸したりしてはいけない。このバンドは誰かと共有せず、部屋の隅で歌詞と睨めっこしながら聞くべきだ。

2012年8月5日日曜日

People In The Box/Family Record






1.東京1分54秒と短い曲。たぶん導入曲的な扱いで、歌詞は旅行に出発みたいな感じかな。

2.アメリカ
「強くなることはとても恥ずかしい」という歌詞やタイトルから反戦ソング(?)。でもたぶんピープルだし、違うような気も。
最初聞いたときはピープルっぽくないなと思った。

3.ベルリン
レッドライトグリーンライト! こんなの歌いながら弾くとか不可能だと思うぐらいギターが変な曲。

4.レテビーチ
最初のギターがビーチっぽい。全体でも言えるけど、リズム隊がいい仕事をしている。このバンドって「楽しい」という歌詞が頻出するような気がする。

5.旧市街
アルバムで、というかピープル史上最も印象に残る曲。リズムチェンジやら無理矢理なコードチェンジやら「変」な要素の集合体みたいな曲。更にそれをポップにまとめているんだからすげぇ。ボーカルはもう歌詞というか半ポエトリーディングみたいなもんだろこれ。

6.ストックホルム
ベースがカッコいいな。ここでも「楽しい」という歌詞が。

7.リマ
たぶんクリスマスのことだ。でも歌詞がものすごく黒い。「パパは強いけど欲望に勝てない」とかどういうことだよ。浮気か。

8.マルタ
なんかギターがきれいな曲。そしてその後ろでベースが暴れてます。ギターもボーカルもきれいだけど、このバンドにかかればさわやかとはほど遠い曲になります。

9.新市街
なんか間奏あたりから出てくるギターが祭囃子っぽい。踊りたくなってくる。

10.スルツェイ
このアルバムで一番疾走感がある曲。途中の「『まだまだ君はいきなさい』って」という歌詞とか最初ラッドかよとつっこみを入れたぐらい。最後の疾走感から次の曲へつながる部分は流石。

11.JFK空港
前曲がアレなので実質最後の曲になるのかな。微妙に全曲と歌詞がつながっていて、途中からポエトリーディングが入ります。なんか聞いてて9.11をイメージしたけど、それともなんか違うような難解すぎてよくわからん。

12.どこでもないところ
4分ぐらいあるエンドロール。コレにて世界旅行は終わり。

総評.
Family Recordということで『家族の記憶』という意味なのか、それとも『家系図』という意味で、これまでの人間全体の歴史のことなのかもしれない。戦争とかをイメージさせる曲が多々あるし。
まあ芸術作品の解釈というのは、聞き手にゆだねられるからどちらでもいいんだろう(とお茶を濁す)。ぶっちゃけピープルの歌詞はよくわからん。

でもとにかく、これまでとは格段に雰囲気が違うアルバムだとは感じた。このアルバムがピープルとしては、ターニングポイントになるんじゃないかと。
具体的に言うなら、「Ghost Apple」はArt-schoolとかsyrup16gみたいな陰鬱なイメージを受けたけど、このアルバムは七尾旅人の「911 Fantasia」みたいな戦争だとかメッセージ性があってそれを曲に乗せた感じ。

どこかのレビューにも書いてあったような気がするけど、このJロック音楽シーン(いわゆるロキノン系というやつ)の中心であるティーン層に一聴してカッコいいと思わせるような曲が少ないのがネックといえばネックなのかなと思う。
ただ完璧に聞き手に媚びる(という言い方が良いか悪いかはともかく)ことなく、自身の音楽を追求している姿勢は非常に好感が持てるし、本当に彼らが好きなファンならそれについてきてくれるんじゃないかと。